“アイドルになりたいアイドルグループ”「LUVYA(ラブヤ)」が5日、仙台市内のライブハウス HooK SENDAIでワンマンライブ「学級崩壊~うっかりとびでたあたし~」を開催した。
LUVYAは、一昨年4月、仙台国分町でショーと飲食物を提供する「LUV♥YA」で仙台初の店舗型アイドルとして活動を開始。当初、来店客は数えるほどで閉店の危機を何度も迎えたが、メンバーたちの毎日の全力のパフォーマンスでなんとか乗り切ってきた。去年6月には、“アイドルになりたい”という念願がかないデビューシングル「LUV❤DREAM」をリリース。これまで、県内外でイベント出演を重ねていたが、ワンマンライブは今回が初めて。一方で、LUVYAを一昨年から支えてきたメンバー3人が、ワンマン決定後の先月、諸般の事情で離脱。3人の出演が急遽取り消されるなど、まさに“学級崩壊”しかねない波乱含みの状況で、この日を迎えた。
出演は、正規メンバーのまどか(リーダー)、こはる、りにゃ、みおか、準正規メンバーのあやこ、ジェニファー、研究生のにゃむ、おり、あさち、しろたんの計10人。このうち、にゃむ、おり、あさちの3人は、就職など新たな進路が決まったため、この日をもって卒業すると事前に発表されていた。
およそ2年間の活動の総決算的な位置づけで行われた初ワンマンには、開店当初からの常連客から女性ファンや家族連れ、それにうわさを聞きつけた熱心なアイドルギークが詰めかけ、予想以上の入場者数に客入りを心配していたメンバーは安心したという。
最初の曲は、彼女たちの日々の思いや仲間との絆を描いたデビューシングル「LUV❤DREAM」だ。店のステージで何百回と披露してきたおなじみの曲に、メンバーはいきいきとした表情を見せ、観客はいつも以上のコールや声援で応えた。
序盤のヤマ場は、アニメ映画「Wake Up Girls!七人のアイドル」の主題歌「タチアガレ!」。このアニメ映画は、LUVYAをモデルにしたメイドカフェで働く登場人物をはじめ、7人のアイドルが仙台を舞台に成長していく青春ストーリーで、LUVYAのこれまでの活動と共通点が多い。それだけに、こみ上げる感情に早くも涙をこらえきれないメンバーもいて、観客の心を強く揺さぶった。
MCでは、ワンマンライブにたどり着くまでを、それぞれが振り返った。みおかが「(活動開始から)2年がたつけれど、この1年がめまぐるしかった」と語ると、リーダーのまどかは「去年6月から、ほかのたくさんのアイドルさんのイベントに出させてもったけれども、やっとLUVYAだけのライブができた。こんなにたくさん人が来てくれてうれしい」と笑顔で応じた。続けて、まどかは「(メンバーの離脱で)10人になってしまったけれど、(今いるメンバーの)絆が深まった。いろいろあったけれども(ファンが)変わらずに応援してくれているので、胸が熱くなった」と素直な感情を口にした。
このあとも、日々のステージで腕を磨いてきたメンバーたちは、カバー曲を次々に繰り出し、初ワンマンとは思えないほどの安定した歌とダンスを見せた。それに呼応するように、観客は、息の合った応援でメンバーを熱く後押した。
こうした中、最高の盛り上がりを見せたのは、卒業するメンバー3人のセレモニーとソロステージだ。
まず、“いじられキャラ”で親しまれてきた研究生のあさちが、準備してきた手紙を朗読し、観客に向かって「(アイドルとして)私は憧れのももち先輩(Berryz工房・嗣永桃子)に近づけましたか?」と空気を読まずに問いかけると一瞬全員が無言になったが、間をおいて会場は爆笑に包まれた。それを受け、あさちは「そんな反応をしてくれる皆さんが大好きです」とうまくまとめると、ソロステージでAKB48の「黄金センター」を元気いっぱいに歌い上げた。
続いて、去年3月に加入した研究生のおりは、手紙の朗読で「LUVYAに入った当初は、メンバー同士のけんかが絶えなく、練習のたびに誰かが泣くし本当に大変だった」と内情を暴露。それでも「(メンバーは)喜び合ったり、一緒に落ち込んだりして、かけがえの仲間だった」と振り返った。ソロステージはAKB48の「夢の河」で、ファンが用意した浅葱色のサイリウムに包まれ、おりは感極まり声を詰まらせる場面もあったが持ち直し、のびやかな歌声を会場に響かせた。
“魔界人”という設定が定着した“不思議キャラ”の研究生のにゃむは、「人間界に冒険に来たけれど、魔界に帰らなくてはなりません」と明るく卒業宣言。しかし、ソロステージでKNUの「今日の笑顔は明日の笑顔を」を歌い始めると一転し、涙をこらえられずステージ上で泣き崩れた。すると、ほかのメンバーも感情を抑えらなくなり次々と号泣し、結果的にたくさんの涙の連鎖を生んだ。
そして、サプライズで、店のオーナーから卒業メンバー一人一人に卒業証書が手渡されると、活動を続けるメンバー7人が、アイドルカレッジの「少女卒業」を歌って、3人の卒業ムードを盛り上げた。
さらに、まどかが「みんなで今までのことを思い出して歌います」と切り出すと、メンバー全員でAKB48の「桜の花びらたち」を披露。ここでもサプライズは続き、観客が桜の花を曲に合わせて左右に振って、3人の旅立ちを祝った。
改めてのMCで、まどかが、ファーストミニアルバムを4月に発売することを発表し、アイドルカレッジの「ジャンピングホップ」へ。サイリウムで会場が青く染まる中、オリジナル曲の「君の願いを」を感謝の気持ちを込めて歌い終えると、メンバー全員が手をつなぎ深々とお辞儀をして舞台を去った。
アンコールではLUVYAオリジナルTシャツに着替えたメンバーが、BiSの「nerve」に、アイドルカレッジの「いちごパフェ」とアイドルソングの名曲をカバー、会場のボルテージは一気に最高潮に。メンバーひとりひとりが、初ワンマンの感想や今後の抱負を述べると、ラストは、AKB48の「草原の奇跡」とオリジナル曲の「LUV❤DREAM」を続けて投入。割れんばかりの大歓声の中、ライブは幕を閉じた。
今回のライブのタイトルとは異なり、なんとか“学級崩壊”を免れて、“アイドルになりたいアイドルグループ”としての集大成を迎えたLUVYA。新たな7人で、新生LUVYAと銘打ち、東北のアイドルシーンに“うっかりとびでた”初ワンマンとなった。
なお、LUVYAでは、現在、新メンバーを募集している。(了)
関連リンク
LUVYA公式HP http://www.luvya.jp/
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